ひな祭りには女なら、それぞれ思いがある。
自分専用の段飾りを母親と一緒に飾った人、折り紙や手作りのお雛様で我慢した人、あられを食べる日だと思っていた人…私は…。

転勤族だった父は私が生まれた頃急がしく、相次ぐ震災もあり両親は雛人形を買う時期を逃してしまったようだった。人形嫌い(物心が付く前からなので原因は判らない)の私は、そんな事を気にする事無く幼稚園に入った。流石に行事事が盛んな幼稚園で母は雛人形を買おうと思い立ったらしい。

しか~し、時は既に遅し~!
物心が付いた私には選択をする権利が与えられたものの…。人形店に入る事もできなかった。



悲しい  「怖い…怖いもん。いらない。」



両親が落胆する間もなく…。



笑い  「鯉のぼりが欲しい。」



妹が居たが…弟は居なかった。
結局人形店を後にしたものの…私の鯉のぼり攻撃は始まってしまった。
早々と4月からお隣のお宅が鯉のぼりを飾ってくれたからだった。

転勤族で当時は庭付きの社宅に住んでいたものの…今度はどんな家になるかわからない。まして今のようなベランダ鯉のぼりが有る訳でもなかったし、私が親なら鯉のぼりは買わないだろう。

しかし、私の両親は鯉のぼりを買った。
女だらけの我が家に…。

私が喜んだのは言うまでもないけれど…密かに喜んでいたのは父だったと思う。
後継ぎは結局生まれなかったけれど、同性の子供が欲しいというのは良く聞く話だ。
その後もう1人妹が生まれたが我が家にお雛様が来る事は無かった。
私がお嫁に行ってから母が手作りのお雛様を作って飾っていたけれど…。

私の人形嫌いは筋金入りで…あの頃はリカちゃんですら怖かった。
ましてや青い目をしたセルロイドのお人形や黒髪のおかっぱの日本人形なんて…今でも恐ろしい。



娘が生まれて一番悩んでいた事はこの私が雛人形を飾らなければいけないと言う事だった。何しろ姑は行事好きで、何かというと集まりたがる人だったから…。
女の子を産んで喜んではいられなかったのだ。

節句の時期がやって来てデパートにでも見に行こうかと思っていた頃、一通のダイレクトメールが届いた。それが平安寿峰さんとの出会いだった。
ちらしに載っているお雛様は皇室御用達。
白い着物に品のいいお顔。


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悲しい  「素敵~!世界が違うわよね~。でも見るだけならいいよね。」

タバコ  「へえ~?人形嫌いなお前がなあ。近くやし連れていったるわ。」




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見に行ったのが運のつき?
多くのお雛様を前にしても寿峰さんのお雛様は魅力的だった。

店にいる事一時間。

ガラスケースに入った小さい物を希望していたのに…。
どれも私にとっては怖かったのだ。
あのお人形だらけの空間にいられたのは…やっぱり一つのお雛様しか見ていなかったからだろうなあ。

両親と一緒にもう一度お店を訪ねると母も気に入ってくれて…ようやく私の娘の物になった。


そんな私のお気に入りのお雛様。
今年は忙しくて台を出すのが遅れてしまったけれど、お人形だけは早々とテレビボードの上で微笑んでいた。

娘はきっといい所にもらわれて行くだろう。
幸せになって欲しいハート




あ、お雛様置いていっていいからね。(^^;





私がどんなに惚れ込んでいるかは「ブログへのお誘い」の昨年の日記をお読みください。